宅建業法

Vol.105 賃貸借契約の更新と再契約|更新料の法的根拠と違いを徹底解説!

先ずは今回の記事に関連した、宅建試験対策の問題です。  宅建試験対策として、今回の内容をもとに本試験レベルの問題を作成しました。 解答と解説もご用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。

賃貸借契約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

A. 賃貸借契約が契約期間満了を迎えた場合、借主が退去の意思を示さなければ、常に法定更新が適用される。

B. 定期借家契約の場合、契約期間満了後は法定更新されるため、借主は引き続き居住できる。

C. 賃貸借契約の合意更新では、貸主と借主の合意がなければ契約は終了する。

D. 貸主が更新を拒否する場合、必ず事前に借主へ6ヵ月以上の予告をする義務がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【正解】C

【解説】

賃貸借契約の 合意更新 は、貸主と借主が双方の合意によって契約を継続するものです。

そのため、どちらかが合意しなければ契約は終了します。

  • Aは誤り。
    法定更新(自動更新)は、貸主が更新を拒絶しない場合にのみ適用される。
  • Bは誤り。
    定期借家契約 では、契約期間満了後に自動的に更新されることはなく、借主は引き続き居住できない。
  • Dは誤り。
    更新拒絶の通知義務は
    借地借家法 に定められているが、すべてのケースに適用されるわけではない。

こんにちは!
RISO店長ハチです。

前回は 消費者契約法と宅建業法はどちらが優先されるか?! について解説しました。

今回は、「賃貸借契約の更新と再契約」 について詳しく解説していきます。

店長ハチ
店長ハチ
更新料って必ず払わないといけないの?

店長ハチ
店長ハチ
契約満了時に再契約ってどういうこと?

…と疑問を持つ方も多いかと思います。

契約の種類によって手続きが異なり、更新と再契約には大きな違いがあるため、事前にしっかり理解しておくことが重要です。

今回の記事を読むことで、以下のポイントが理解できるようになります。

  1.  賃貸借契約の更新と再契約の違い
  2.  契約更新の種類と特徴
  3.  再契約とは何か?
  4.  更新料の法的根拠
  5.  貸主・借主が注意すべきポイント
  6.  この記事で学べること

1. 賃貸借契約の更新と再契約の違い

賃貸借契約の契約期間が満了すると、次の2つのいずれかの手続きが発生します。

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簡単に言うと、契約更新は現状維持、再契約は契約を結び直す という違いがあります。

2. 契約更新の種類と特徴

賃貸借契約の更新には 「自動更新(法定更新)」「合意更新」 の2種類があります。

自動更新(法定更新)

借地借家法の規定により、契約満了時に貸主・借主のどちらからも更新手続きが行われない場合、自動的に契約が継続する仕組み です。

この場合、契約の期間が「定めのない契約」となり、借主はいつでも解約申請が可能 となります。

  • 貸主側は正当な理由がない限り契約を終了できない
  • 借主は自由に退去できる(一般的に解約予告は1~2ヵ月前)
  • 更新料が発生しないことが多い

名前
名前
更新の手続きしなくても住み続けられる!

…というケースは、この法定更新が適用されている可能性があります。

合意更新

契約書に「契約更新には貸主・借主の合意が必要」と記載がある場合、貸主・借主双方の合意がなければ更新できません

この場合、更新時に更新料を支払うケースが多い です。

  • 契約書に「更新時に更新料○ヶ月分を支払う」と記載がある場合、支払う義務が発生する
  • 貸主・借主の双方が合意しない場合、契約満了となる
  • 更新時に賃料や契約内容の変更が可能

更新料の支払いについては消費者契約法の適用が問題になるケースもあるため、後述する「更新料の法的根拠」で詳しく解説します。

3. 再契約とは何か?

再契約とは、「契約満了後に新たに契約を結び直すこと」です。

更新とは異なり、新規契約となるため、契約条件の変更が可能です。

再契約が行われるケース

定期借家契約の場合

定期借家契約(契約期間が定められており、満了後に契約が自動更新されない契約)では、契約を継続する場合は再契約となります。

貸主が契約内容を変更したい場合

家賃の改定や契約条件を見直したい場合、貸主が「再契約」として対応することがあります。

借主が再契約を希望した場合

例えば、短期契約を希望する場合など、再契約を選択するケースもあります。

4. 更新料の法的根拠

店長ハチ
店長ハチ
更新料って払わなきゃいけないの?

…という疑問を持つ人も多いかもしれません。

更新料の有効性については 最高裁判所の判決(平成23年7月15日) で次のように示されています。

つまり、契約時に「更新料を支払う」と明確に合意している場合、更新料は有効 ですが、金額が高額すぎると無効となる可能性があります。

一般的な更新料の目安
  • 1年契約:家賃の0.5~1ヶ月分
  • 2年契約:家賃の1ヶ月分

更新料を請求された場合、契約書に明記されているかどうか、金額が適正な範囲かを確認することが重要です。

5. 貸主・借主が注意すべきポイント

貸主が注意すべきこと

契約更新や再契約の条件を明確にしておく

更新料を設定する場合、合理的な金額にする

再契約の場合、契約条件の変更が妥当か慎重に検討する

借主が注意すべきこと

契約書を確認し、更新料や契約満了時の手続きについて把握する

更新時に賃料や契約内容が変わる可能性を理解しておく

契約更新ができない可能性があるため、満了前に確認する

6. この記事で学べること

賃貸借契約の更新と再契約には大きな違いがあり、どちらが適用されるかによって借主・貸主の権利や義務が変わります。

  1.  法定更新(自動更新):契約は継続、貸主は解約できないケースが多い
  2.  合意更新:貸主・借主の合意が必要、更新料が発生することがある
  3.  再契約:契約満了後、新しい契約として締結する(条件変更の可能性あり)
  4.  更新料は契約時に明示され、合理的な範囲であれば有効

契約更新と再契約の違いを理解し、更新料の適正性や契約満了時の対応を把握することで、貸主・借主双方が納得のいく契約を結ぶことができます。

契約満了時に慌てないためにも、契約時に更新や再契約の条件をしっかり確認し、トラブルのないスムーズな契約継続を目指しましょう!

次回は、「賃貸借契約における賃料増額・減額請求のルール」 について詳しく解説します!

家賃の値上げ・値下げはどのような条件で行われるのか、法律の視点から解説するので、お楽しみに!