宅地建物取引士試験 予想問題(敷金の法的ルールと返還義務)
次のうち、敷金から差し引かれる可能性のある費用として適切なものはどれか。
A. 経年劣化による壁紙の変色
B. 借主が未払いの家賃
C. フローリングの日焼けによる色あせ
D. 退去後に貸主が新たな家具を購入する費用
【正解】B
【解説】
敷金から差し引かれるのは、未払い賃料、修繕費(借主の過失による損傷) などが該当します。
- A・Cは誤り。 経年劣化による損耗は、借主の負担とはならない。
- Dは誤り。 貸主の都合による設備更新費用は、敷金から差し引くことはできない。
こんにちは!
RISO 店長ハチです。
契約時・退去時に注意すべきポイントを解説いたします!
賃貸契約を結ぶ際、「敷金」「礼金」「保証金」といった初期費用が発生しますが、それぞれの意味や違いを正しく理解していますか?
特に、退去時には
などのトラブルが発生しやすく、契約時の確認が重要です。
本記事では、敷金・礼金・保証金の違い、法的な返還義務、退去時の対応方法について詳しく解説 します。
契約前に知っておくことで、余計な出費やトラブルを防ぎ、安心して賃貸生活を送るための知識を身につけましょう!
今回の記事を読むことで、以下のポイントが理解できるようになります。
- 敷金・礼金・保証金の違いとそれぞれの役割
- 敷金の返還義務と原状回復費用のルール
- 礼金が返還されない理由と例外的なケース
- 保証金の仕組みと返還ルール
- 敷金・礼金・保証金のトラブルを防ぐ方法
1. 敷金・礼金・保証金の違いとそれぞれの役割
賃貸物件を借りる際、契約時に「敷金」「礼金」「保証金」といった費用を支払うことがあります。
しかし、それぞれの意味や返還義務について正しく理解している人は意外と少ないものです。
特に、退去時に
…といったトラブルは多く、契約時の確認が非常に重要 です。
本記事では、敷金・礼金・保証金の違い、法的な返還義務、そして契約時や退去時に注意すべきポイントを詳しく解説します。
2. 敷金の返還義務と原状回復費用のルール
敷金の法的ルールと返還義務
(1)敷金とは?
敷金は、借主が退去する際に 未払い賃料や原状回復費用の担保 として貸主に預けるお金です。
借地借家法の改正により、敷金の返還ルールは明確になりました。
(2)敷金の返還義務(借地借家法第622条の2)
つまり、退去時に敷金は原則として返還される ことが法律で定められています。ただし、以下の費用が差し引かれることがあります。
✅ 未払いの家賃・管理費
✅ 原状回復費用(通常の使用による損耗は除く)
✅ 契約書で定められた修繕費(特約がある場合)
(3)原状回復費用の範囲
敷金から差し引かれる「原状回復費用」には、借主負担とならないものがあるため、注意が必要です。
【ポイント】
- 通常の使用による損耗は借主が負担する義務はない(国土交通省「原状回復ガイドライン」より)。
- 契約書に特約がある場合、一定の範囲で修繕費用が請求されることがある。
- 敷金が返還されない場合、貸主に明細を請求できる。
3. 礼金が返還されない理由と例外的なケース
礼金の法的ルール
(1)礼金とは?
礼金は、貸主に対する謝礼 として契約時に支払うお金であり、法律上の義務ではありません。
関東圏では「1~2ヶ月分」が相場ですが、近年は礼金ゼロの物件も増えています。
(2)礼金は返還されるのか?
原則として返還されない。
礼金は 「貸主への謝礼」 という性質のため、退去時の返還義務はありません。
ただし、契約書に「○年以上居住すれば一定額を返還する」などの特約がある場合は、返還される可能性があります。
4. 保証金の仕組みと返還ルール
保証金の法的ルール
(1)保証金とは?
保証金は、主に事業用賃貸で使用される敷金のようなもの です。
敷金よりも高額になるケースが多く、「賃料の6~12ヶ月分」を支払うのが一般的です。
契約期間が終了すると、一定の割合を差し引いた額が返還される仕組みになっています。
(2)保証金の返還義務
保証金は 契約満了後に返還されるのが原則 ですが、以下のような費用が差し引かれることがあります。
✅ 未払い賃料・管理費
✅ 原状回復費用(事業用のため居住用より範囲が広い)
✅ 償却費(契約で定めた額を返還せず貸主が取得する費用)
【ポイント】
- 保証金には「償却」という制度があり、全額返還されない場合がある。
- 契約書の記載をよく確認し、返還条件を把握することが重要。
5. 敷金・礼金・保証金のトラブルを防ぐ方法
契約時・退去時にトラブルを防ぐためには、次の点に注意しましょう。
✅ 契約前に契約書の内容をよく確認する
✅ 原状回復の範囲について、事前に貸主と確認しておく
✅ 退去時に貸主立ち合いのもとで現況確認を行う
✅ 敷金の返還額が不明確な場合、明細を請求する
賃貸契約における敷金・礼金・保証金には、それぞれ異なる性質があり、返還義務も異なります。
以下のポイントを理解することで、契約時や退去時のトラブルを未然に防ぐことができます。
✅ 敷金 → 退去時に未払い賃料・原状回復費用を差し引いた後に返還される
✅ 礼金 → 貸主への謝礼のため、返還義務はない
✅ 保証金 → 事業用賃貸で用いられ、償却費を除いた額が返還される
退去時の敷金返還トラブルを防ぐためにも、契約時にルールをしっかり確認し、納得のいく契約を結ぶことが重要 です。
正しい知識を持って安心した賃貸生活を送りましょう!
次回は 「原状回復の範囲と費用負担のルール」 について解説します!
…というトラブルを防ぐため、国土交通省のガイドラインをもとに詳しく説明しますので、お楽しみに!